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第13回 敵対的生成ネットワーク

敵対的生成ネットワーク

第10回から12回はニューラルネットワークについて式を追って話をしました。数学に偏ったところもあり、少し堅苦しい雰囲気だったので、今回は敵対的生成ネットワークについて話をします。

「敵対的生成ネットワーク」もまた堅苦しそうな雰囲気ですが、AIの世界では「GAN(ガンまたはギャン)」(Generative Adversarial Networks)と呼ばれ、Generativeの単語にあるように何かを作るネットワークになります。2017年に発表された「アイドル自動生成AI」※1が有名な例になります。GANは前回まで述べていたAIの基本的な部分ではなく応用の部類に入り、教師なしモデルになります。

▼線画から本物のように着色

敵対的生成ネットワーク

GANのモデルには「生成器」「識別器」の2つのネットワークがあります。それぞれに役割があり、生成器は本物と同じようなモノを作り出し、識別器は生成器が作ったモノが本物かニセモノかを判断します。生成器の精度が上がれば、識別器の精度も上がっていくという、お互いに切磋琢磨してGANのモデルが成長していきます。
GANを利用して、高品質な画像を作成したり、画像から文章を作ったり(この逆もあり)、ある画像を雰囲気の違う画像にしたり、動画内の人物を別の人物に変えて動画にしたりできます。

敵対的生成ネットワーク

自分の描いた絵を有名な作家風の絵に変換することもできます。またディープフェイク※2として偽りの動画による犯罪が問題となっています。
今回はGANについて話をしました。AIはまだまだ発展途上です。これからどのような技術が出てくるか楽しみですね!

※1 アイドル自動生成AIを開発
※2 ディープフェイクについて


「YSeye25号」掲載