平成24年度 第4回組込みシステム研究会実施報告
日 時 平成24年10月13日(土) 9:00~12:30
開催場所 本校3階 301教室
参 加 者 神奈川県内の高等学校の先生方
講 師 鈴木美朗志(マイコン・ロボット科講師)
助 手 葛西湧太(マイコン・ロボット科2年生)
内 容 照度センサを使った自動照明点灯回路の製作
人間の目の視感度特性に近いフォトトランジスタ(NJL7502)を使って、照度に応じてLEDを点けたり消したりする照度制御を行う自動照明点灯回路を制作した。照度センサの周囲が明るいときには、3つの高輝度白色LEDは消灯している。照度センサの周囲が暗くなると、3つの高輝度白色LEDは点灯する。どのくらいの暗さで点灯するかの感度調整は、可変抵抗器(VR20kΩ)の電圧調整で行う。
作品
表面(部品配置面) 裏面(配線はんだ付け面)
資料
回路図
図3 回路図
主要な部品の動作特性
図4 ヒストリシス・コンパレータの 図5フォトトランジスタ(NJL7502)特性
ヒステリシス特性(入出力電圧特性)
動作原理
1)夕暮れ時を想定し、VR20kΩを調整することによって、ヒステリシス・コンパレータの比較基準電圧(Vs)を2.0Vにする。
2)照度センサには、照度に応じてフォト電流が流れている。照度センサの周囲が明るいときはフォト電流は大きく、暗いときはフォト電流は小さい。
3)夕暮れ時に照度センサの周囲が暗くなるとフォト電流は小さくなる。照度センサと直列の100kΩの抵抗での電圧降下が小さくなるので、照度センサ(フォトトランジスタ)のコレクタ(C)の電位ViはVs=2.0Vより大きくなる。
4)コレクタ(C)の電位ViがVs=2.0Vより少し大きいViH=2.1V程度になると、ヒステリシス・コンパレータの出力電圧は0から飽和出力電圧(VOH=3.6V)に反転する。
5)するとトランジスタ(2SC1815)にベース電流(IB)が流れ、電流増幅された大きなコレクタ電流(IC)が高輝度白色LEDと電流制限抵抗(51Ω)に流れるので高輝度白色LEDは点灯する。このときヒステリシス・コンパレータの飽和出力電圧はベース電流による電圧降下によって3.5Vになる。
6)照度センサの周囲が徐々に明るくなり、照度センサのコレクタ(C)の電位がVs=2.0Vより少し小さいViL=1.9V程度になるとヒステリシス・コンパレータの出力電圧は3.5Vから0に反転する。高輝度白色LEDは消灯する。
7)今回ヒステリシス・コンパレータを使ったのは、コンパレータの比較基準電圧(Vs=2.0V)近くの明るさの変動による、チャタリング(LEDが点いたり消えたり不安定に繰り返す現象)を防ぐためである。今回は図4ように、ヒステリシス幅は0.2Vにしている。
セミナーの様子
動作原理の説明 回路の制作
今回は体験入学で来校した高校生たちが見学をする機会にも恵まれました。先生方の作品を見て、普段何気なく見ているものの舞台裏の仕組みに触れることができ、興味津津の様子でした。
明るいところでは消灯 暗くなると点灯
体験入学で見学中の高校生たちも興味津津。思わず体が前のめりになります。
毎度、ご好評をいただき、大変感謝しております。次回も是非ご参加ください。
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