2012年10月16日~19日、国立オリンピック記念青少年総合センターにて、情報処理学会組込みシステム研究会主催の組込みシステムシンポジウム(ESS2012)が開催されました。その中のイベントとして、ESSロボットチャレンジ飛行船競技が行われました。今回は8月の飛行競技会とは違って、学会開催中のイベントなので、学術面や技術面の内容が重視されます。10チーム中大学・大学院チームが9つ。専門学校単独チームは、YSE_飛行船12だけです。
10/16(火)リハーサル
初日のリハーサルは、ハード担当リーダ葛西君が体調悪く欠席です。不安がありましたが、超音波センサの設置も事前に練習済みで手早く終わり、メンバーの動きもきびきびしています。新しく製作した飛行船キャビンの性能は素晴らしく、動きが見違えるようです。この性能を長時間持続させるために、重量ぎりぎりですが、LiPoバッテリも思い切って2個並列にしました。実はバッテリを1個でいくか2個でいくかで重量もバランスもプログラムも作り変えが必要なのですが、すべて事前に検討済みで、現地の状況に合わせて判断してチョイスをしようということになっていました。飛行させてみると順調に飛びます。
全てが順調すぎる。こういうときほど、何かが起こると思っていたところ、とんでもないことが起こりました。あろうことか、新型キャビンと風船とをつなぐ固定支柱(アルミ製)が金属疲労で根元から折れてしまい、キャビンごと地上に落ちて大破してしまいました。万事休す01。・・・。このような時のために念のため持ってきたプロトタイプ1号機の支柱を使いました。ところが少々太くて重量オーバ。浮かばない。どうしよう・・・。
事前に想定されることなら何か予備策があるはず。葛西君が準備した箱の中を調べると、あった。スペアの支柱が1本。これを曲げて合わせることにしました。必要な道具が無かったり、パーツが足りなかったり、トラブルは次から次へと出てきますが、何でも代用して、思いがけない使い方もして、どんどん作業を進めます。
しかも、彼らはこんな万事休すの状況の中、冗談を言い合い、笑いながら鼻歌交じりに、作業を進めていきます。万事休すの状況を楽しんでいます。事前にシミュレートして先を読む力、現場での緊張感と瞬時に求められる判断力や対応力。この臨場感と緊張感。パソコン上のゲームよりも何倍も面白い!!。「まずはやってみよう。どうせやるなら楽しんでしまおう。僕たちチームYSEの合言葉です。大変さも重圧も挑戦課題とわくわくするエネルギーに変えて、楽しみます。」この現場精神こそ「センモンガッコウセイ」の真骨頂です。
10/17飛行船競技本番
障害物飛行
朝9:40アナウンスでは我々は2番目。少し余裕があるのゆっくり準備しよう。・・・と思っていたら、急きょ順番変更。トップバッターになりました。室内の空気がまだ安定化しておらず、競技そのものもぎくしゃくして始まりました。どんな状況でも大丈夫。夏よりははるかにいい飛行。・・・あっ!!!リボンの釣り糸がモータに絡まり、万事休す02。時間もない。
普通はここでリタイア。ところがあきらめません。糸を切り取ってゲーム再開です。順調。障害物をクリアしてゴール到達。旋回してさあ元来た道へ。でもこの瞬間にタイムオーバになりました。
最悪。メンバーは声も出ません。他チームの飛行を見る余裕もなく、頭を冷やしに外へ。でも、残ったチームはどこも、なおさらまともに飛べていません。夏の飛行をリベンジできたところは皆無です。
デモ&プレゼンテーション
昼食後は、今回の競技会の一番のハイライトである、「デモ&プレゼンテーション」。各チーム自分達の飛行技術の紹介です。トップバッターはまたしてもYSE_飛行船12。新規に制作した機体の話、自作のユーザーインターフェースやオリジナルの横飛行制御(4番目のプロペラを使った、進行方向とは直角方向へ水平飛行する制御)の紹介と実演。
いつも通りの堂々としたわかりやすいYSEスタイルのプレゼンテーションです。難しい言葉や数式は一切使いませんが、思ったことがチャンと実装できており、水平横移動の実演デモもきれいに見せることができました。質疑応答にも堂々とやりとりしています。
10/18結果発表
ポスターセッション:
表彰式の前にはポスターセッションがありました。自分達のパネルを説明したり、よそのパネルで積極的に質問しています。交流しながら勉強できる。教室での勉強よりはこういう勉強がおもしろいよね。
表彰式:
今年度は、以下の4部門のそれぞれ優勝チームだけが表彰されました。
基本飛行競技部門、
複合飛行競技部門、
デモンストレーション&プレゼンテーション部門、
ポスター発表部門、
YSE_飛行船12は、想定通り、「デモンストレーション&プレゼンテーション優勝」です。
情報処理学会の組込みシステムシンポジウムという公式な発表会のなかで、大学・大学院チームではなく、専門学校チームが、このような賞をいただくということは、飛行競技優勝よりも価値があるな・・・としみじみ思います。
初めてこの飛行船コンテストに参加した数年前、学会の皆さまの評価は、「ふーん。専門学校がこんなことをするようになったのか・・・。」でした。その時に比べると、毎年すこしづつ積み上げて、一段づつレベルアップしてきました。ソフトもハードもモデルも自前で作ることができるようになりました。
これで準備万端。来年はいよいよ最終ステージです。
コメント
すごい進歩だなとおもいました。次も楽しみです
さきの「ETロボコン2012南関東大会」走行競技:準優勝・3位入賞・最速王座決定戦:2連覇の成績、おめでとうございます。プレッシャーを楽しめるなんてうらやましい限りです。
また、このたびの「ESSロボットチャレンジ飛行船競技」 デモンストレーション&プレゼンテーション部門の優勝、おめでとうございます。失敗を恐れず、果敢に取り組むチャレンジ精神が功を奏したものと思います。
これからもますますのご活躍を期待します。