2014年9月13日(土)・14日(日)の2日間、関東学院大学金沢八景キャンパスでETロボコン2014南関東大会が開催されました。
今年から新しい3輪型NXTトライクというマシンが登場し、これがなかなかタフな奴です。こういう新しいことが始まるときは、ゼロから始めるので、僕ら専門学校生にはビックチャンス!!
トライク型↓ 二輪倒立型↓
競技会場は、2010年以来4年ぶりに訪れる関東学院大学金沢八景キャンパスの競技会場。当時は本番競技ではとても勝てなくて、オプションの最速王座決定戦で準優勝をして喜んでいました。
その後、会場が本厚木の神奈川工科大学に移り、この4年間の間に、専門学校ながら上位入賞の常連に成り上がり、昨年はチャンピオンシップまでいける寸前のところまで来ました。
そこで、当然、今年はいよいよ悲願のチャンピオンシップ出場をかけて取り組んだチームYSEのプロジェクトでした。
本校からは2チームが参加しました。結果は、
デベロッパー部門アドバンストクラスに参加した「チーム:YSE_desire14」 5位
デベロッパー部門プライマリクラスに参加した「チーム:YSE_wish14」 6位
アドバンストクラスは参加チームの6割が同率5位です。理由はこれらのチームはすべてリタイアで終わりました。何チームかは試走会ではすごい走りをしていて「なんだアレ?ぜひ本番の走りが見たい!」と思ったのですが、本番では途中でコースを外れたり、障害物にぶつかったりで、残念でたまりません。
そんな中で優勝したチーム(富士ゼロックス:ぶっこみライダーズ)は完ぺきな走りで、見事でした。僕たちが不可能だろうと思ったウイリー走行での最難所完全攻略もあり、さすがです。我々はとても及びませんでした。
YSEの2チームは、どちらも完走できず、自分たちが一番魅せたかった走りを披露できませんでした。今回はあくまでも本競技にこだわったので、オプションのゼロヨンは封印して出場しませんでした。
ETロボコン南関東大会出場6年目。初出場以来の「ノータイトル」で終わりました。
こんなはずでは・・・という気持ちと、やっぱり・・・という気持ちと両方です。
2009年にチームYSEでロボコンを初め、右肩上がりで伸びてきた成果ですが,
「王者の没落は、その一番栄光の時にすでに始まっている」という言葉が見えてきます。
ローマ帝国も平氏も源氏も同じ運命をたどりました。(YSEとローマや平氏、源氏と比べるのははおこがましいですが)
祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず
ただ春の夜の夢のごとし
たけき者もついには滅びぬ
偏に風の前の塵に同じ
今回、本校は惨敗し、チームYSEも崩壊かなぁ・・・と悲しくなっていたのですが、大きな視点で眺めると、新しい光景が見えてきました。
ディベロッパー部門プライマリクラスで、
競技部門で1位、モデル部門で2位、総合部門で準優勝した「ドライビングスクールあど」のチーム名で参加した株式会社アド様は、昨年と今年度YSE情報システム科から入社した卒業生2名が活躍しました。在学中はまさか彼らがロボコンをやらないだろうと思っていたので驚きでした。
また、昨年は特別賞(J-TEA賞)、今年も特別賞(奨励賞)を獲得した三浦学苑高校のチームも、初参加のころから指導の先生とは交流しており、本校が土曜日に開催している「組込みシステム研究会」や「Arduino基礎セミナー」には常連としてご参加いただいています。
自分たちと交流のあるチームが結果を出した時に、こんなにうれしいものなんだ・・・という気持ちを味わいました。主催者の先輩方はそういう気持ちを持ち続けて、このようなロボコンを継続運営されていることをあらためて感じました。
そういえば、8月末に、わざわざ他府県から本校に10人近くお越しいただき、勉強交流会を行った、某地区の大学チームの大会本番は、これからです。
YSEでの勉強が刺激になったよ。・・・とおっしゃっていただきましたが、われわれはその刺激を結果に結びつけれませんでした。彼らには、結果を出していただき、我々の無念を晴らしていただきたいと思い、エールを送ります!!
さて、YSEが進めてきた「課題挑戦型プロジェクト教育」ですが、起承転結の、起と承が順調に終わり、いよいよ転が始まった感じです。
チームYSEが得意とする「課題挑戦型プロジェクト教育」は、課題と直面して、それに挑戦し、乗り越えてナンボという、筋書きのないドラマのような生きたリアルタイム劇場型教育スタイルなので、ここからが本当の意味で真価を問われる局面になります。
「課題挑戦型プロジェクト教育」は、背伸びをした目標を立て、モチベーション駆動型で、ラーニングではなくスタディで、必要なことをオンデマンドに学んで吸収し、成果を出して自信をつけながら、次の課題挑戦スパイラルにフェーズインして、成長し続ける、教育モデルです。
この教育モデルで学ぶ学生たちは、課題と向き合い解決していくことを楽しんでいきます。今は、この教育モデルで教育する側が、新しい教育課題と向き合っています。
今、日本のあらゆる教育現場(特に今後の日本の産業や就労を、国際的に見た目線で、支えていかなくてはならない教育現場)で、学生達とじかに向き合う教師(大学院、大学、専門学校、企業研修担当者、産学連携の講師、企業のインターンシップ担当者、・・・)やインストラクターが、共通して直面している問題が、「学生のモチベーション・やる気」の問題です。
アジアやアフリカの発展途上国の学生たちの、活き活きしてキラキラした、生きる力にあふれた活力に触れた方々が、必ず言われるセリフが、「それに比べて、日本はどうだ・・・。こんな日本は今後どうなるのだ・・・。」
この問題に、一つの具体的な明るい可能性を提示したのが「YSE課題挑戦型プロジェクト教育」でした。文科省の教育から外れたところで、その中でも隅っこの、小さな目立たなかった専門学校の学生たちが、具体的な課題(ロボコンやイベント)に取り組むことで、目の色を輝かせて学び、力をつけ、大学・大学院や企業チームと互角以上の結果を出せた。
就業後は、タフでへこたれず、意欲的で前向きで、提案型の仕事ぶりが評価されています。在学中に「課題挑戦型プロジェクト教育」で学ぶことで、しっかりとした社会人基礎力(前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力)を身に付けたからこそだと思います。
彼らを引っ張るのは、彼らの先輩たち。教える技術よりは、話を聞き、悩みを聞き、相談相手になり、時には夜を徹して付き合って、志を支え、チームが一丸となってお互いの得意なことを見つけて、役割を分担し、苦手なところは補い合う合うことで、成果を出し、達成感を分かち合う。
唯一の欠点は、団結力を強めるために、独立独歩でがむしゃらに取り組んできたことです。
自分たちのやってきたことを、実証的・帰納的に積み上げてきました。ノウハウのオリジナルな面はいいのですが、職人芸的になってしまい、他への転化・展開が思うようにいきません。へたをすると唯我独尊に陥ります。
この教育方法が、起・承を終え、転から結へ向けて展開していくには、YSEの閉じた世界から飛び出して、今後はもっと外の世界と交流していくことだなと思っています。
コメント